My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 2
番外編.追跡
――少し時を戻して。
ノーヴァでカノン達と別れたラグとアルディートは……。
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「お前さ、とりあえず一度飛んで小さくなれよ」
セリーンとカノンちゃんにしばしの別れを告げノーヴァを出た俺達。
肩をぐるぐる回しながら振り向くとラグが目を見開いていた。
何をそんなに驚いてんだ?
「一度は普通に使えんだろ?」
「……」
余程術を使いたくないのか、いや、小さくなっちまうのが嫌なのか、顔を引きつらせてラグは俺から視線を外してしまった。
頭の上に乗っかったブゥがそんな相棒を心配そうに覗き見ている。
俺はふぅと息を吐き続けた。
「じゃあ何か? お前ストレッタまでずっと俺に抱えられていくつもりだったのか」
「…………」
途端、ラグの顔が心底嫌そうに歪んだ。……失礼な奴だな。
「あのなー、俺だってケガ人ならともかく大の男抱えて飛びたくないわけ。どう考えたって小さくなった方が俺の負担が減るだろーよ」
「……わかった。ただし、小さくなっても絶対にガキ扱いするなよ」
念を押す様に睨まれ俺は今朝のことを思い出した。
あー……、つい懐かしくて少しはしゃぎ過ぎちまったか。
「わーったって! んじゃ、早速行きますか」
「あぁ。ブゥ、お前は一応ここ入っとけ」
「ぶ」
俺達は冷たい夜風を全身で感じ取る。
「すまない。少し力を貸してくれ」
「わりぃ。少し力借りるぜ」
『風を、此処に!!』
――そして、俺達は風に乗り空へと飛び上がった。