終着駅は愛する彼の腕の中
「小切手でごめん。現金で用意しても良かったけど、大金持っていると誰に狙われたりすると大変だからね。もし、解らなかったら僕が一緒に銀行に付き添うから大丈夫だよ」
「・・・有難うございます・・・」
驚きを隠して、エイミはシレっと答えた。
「じゃあ、今日から君は僕だけのお客・・・。いや・・・」
まっすぐにエイミを見つめる羽弥斗。
「お客じゃない。僕の、彼女になって下さい」
「はぁ? 」
冷めた目で茫然と羽弥斗を見つめるエイミ。
「10憶円で、僕の彼女になってって言ったんだよ」
「彼女? 私が? 」
「そうだよ。だって、僕は君以外の人とシタくないから」
とても真剣な眼差しで見つめられ、冷めた目をしていたエイミも瞳が揺れた。
もう一度、小切手を見つめるエイミ。
「・・・私は・・・貴方の彼女になんて相応しくありません・・・」
小切手を見つめながら、悲しそうな目をしてエイミが言った。
「相応しくないって? どうして? 」
ギュッと拳を握り締めて、エイミは唇を噛んだ。
羽弥斗はエイミの答えを待った。
「私・・・」
ゆっくりと、エイミは羽弥斗を見た。
「私は・・・犯罪者です・・・」
羽弥斗はちょっとだけ目を見開いた。
「・・・私は・・・8年前に、乳児殺害の犯人として逮捕されました。・・・今でも、世間では私は犯罪者です。・・・なので、貴方の彼女にはなれません・・・」
そう言って、エイミはそっと目を伏せた。