終着駅は愛する彼の腕の中
 
 羽弥斗はフッと小さく笑った。


「その話は、もう8年も前の話しなんだよね? 」

「はい・・・」

「今は? 」

「え? 」

「今はどうなの? 」

「どうなのって? 」


 エイミはきょんとなった。


「僕が大切にしているのは、今だけだよ。過去の事なんて、どうでもいいじゃん。済んだことだろう? 」

「でも・・・犯罪者はずっと、後ろ指を指され続けますから」

「誰がそんな事するの? 」

「・・・世間はそうです・・・」

「世間がそうだと、君はどうなるの? 」

「・・・嫌です・・・そんな言葉を聞かされるのが・・・」

「嫌ならどうなるの? 」


 はぁ? と、エイミは羽弥斗を見た。


 羽弥斗はとくに表情を浮かべる事無く、エイミを見ている。


「君が嫌な気持ちになるのは分かったよ。じゃあ、その先はどうなるの? 」

「その先って・・・嫌になると・・・悲しくなる・・・」

「どうして? 」

「だって・・・」


 グッと何かが込みあがってきて、エイミの目が潤んだ。
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