終着駅は愛する彼の腕の中
車で駅まで来ると、コインパーキングに車を止めて、羽弥斗はノエリの手を繋いで新幹線ホームに向かった。
「あ! いた。ノエリ、見てごらん」
羽弥斗に言われてノエリがホームを見ると、そこには黄色い新幹線が止まっていた。
「よかった、間に合って」
ノエリは黄色い新幹線を見てちょっとだけ目を見開いた。
「ノエリ、あの新幹線はドクターイエローだよ」
「ドクター・・・イエロー・・・」
「正式名所は、新幹線電気軌道総合試験車。新幹線が安全に運転できて、みんなが心地よく乗れるように見守っていてくれている新幹線だよ」
ノエリはドクターイエローをじっと見つめている。
「このドクターイエローを見ると、幸せになれるって新幹線ファンの間では言われているんだ。めったに見ることができないけど、今日は見れてよかったねノエリ」
そっと視線を落として、ノエリは小さく頷いた。
「ノエリ・・・」
ギュッと繋いでいる手を握って、羽弥斗はそっとノエリに微笑んだ。
「人にはちゃんと、必要なものが必要な時に見えるようになっているんだよ。今日ここで、ノエリがドクターイエローを見ることが出来たのは。もう、幸せになっていいよってお許しが出たんだ。素直に受け取ればいいよ」
素直に・・・受け取る・・・。
そんな事を考えた事はなかった。
いつも受け取ることは、いけない事だと先に思ってしまう。
もう一度ドクターイエローを見つめるノエリ。