終着駅は愛する彼の腕の中


 新幹線を見つめる女性の頬に涙が伝ったのを羽弥斗は見た。


「新幹線を見て・・・泣いている・・・どうして? 」

 
 遠いようで近い位置にいるその女性が、何故か羽弥斗は気になってしまった。



 その日はその後何もなくいつも通り過ぎて行った。






 
 それから数週間後。

 羽弥斗は仕事を終えて帰宅する途中、夜の繁華街にやって来た。


 ここにはキャバクラは勿論、ヘルスや風俗店も多くある。



 羽弥斗は結婚しないと決めている。

 そして誰とも交際しないとも決めている。

 だが羽弥斗も男。

 性欲は盛んでたまにはスッキリさせないと体も重い。

 その為、月に1回か2回、ヘルスか風俗店に遊びに来ている。



 今日はいつもの常連の風俗店に来た羽弥斗。

「いらっしゃいませ」

 番頭の男性が笑顔で出迎えてくれる。

「本日はどのコースをご希望ですか」

「そうだなぁ・・・90分でお願いします」

「はい、かしこまりました。本日ですが、新人がおります。少し割高にはなりますが、如何ですか? 」

「新人って、まだ誰とも接客していないの? 」

「はい、まだどなたからも指名はまだ頂いておりません」

「へぇー。じゃあ、その子にするよ。時間も120分でお願いします」

「ありがとうございます」


 番頭はニコニコ顔で応対して、さっそく新人女性を連れてきた。


 
 スラッとした少し背丈の高い女性。

 露出の高い赤いスリップドレスを着て、綺麗な黒髪が肩を越えて、ほっそりとした面長の顔に少し冷たい切れ長の目をしている。


 羽弥斗はその女性を見ると、どこかで見たことがあると思った。


「お客様、お待たせしました。新人のエイミでございます」

「よろしくお願いします・・・」


 少し節目で挨拶をするエイミ。

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