終着駅は愛する彼の腕の中
途中で乗り換えてまた別の新幹線で、もっと北へ向かう。
「ちょっとお兄見てよ。この新幹線カッコいいよ」
赤色でエクステリアデザインで、見ているとホッとさせられる新幹線。
羽弥斗もかつて運転してた事があった。
「へぇー。久しぶりに見るけど、このデザインってなんか落ち着くね」
「お兄も運転していたの? 」
「短い期間だったけどね。この新幹線の終点は、すごい雪国で想像以上だったよ」
「雪国なんだ。じゃあ、もう雪降っているかな? 」
「そこまではまだだと思うよ。でも、寒くなっているとは思うよ」
新幹線はもっと北へ。
のどかな田んぼが広がった田舎の風景。
そんな風景は、いつも都会でごちゃごちゃしている人を癒してくれる。
羽弥斗の気持ちも少しだけ癒された。
終点に着くと。
都会とは違う、のんびりした雰囲気で人の動きも穏やかである。
「お父さん、ちょっと昔の友達に会ってくるから。羽弥斗とひまわりは、どこか観光しておいで」
「はーい」
羽弥斗とひまわりは、駅にある観光案内所に向かった。
瑠貴亜は駅前のカフェに向かった。
カフェは沢山の人で賑わっている。
だが田舎の人は、都会人に比べてのんびりしていて、ゆっくりお茶を楽しんでいるようだ。
「お待たせして、すみません」
窓際に1人ポツンと座っている女性に、瑠貴亜は声をかけた。