終着駅は愛する彼の腕の中
「ノエリ。僕はね、8年前からノエリに恋してた。・・・逮捕されて来たノエリを見た瞬間、僕の胸がキュンとなったのを覚えている。ノエリが赤ちゃんを殺すなんて絶対にありえないって、思っていた。無罪だと知ったときは、嬉しくて。・・・でも、報道がされなくて酷く怒りを覚えたよ。だから僕は警察官を辞めた。その後も、ずっと、ノエリの事を忘れられなくて。何とか探したいって思って、新幹線の運転手になって全国を回っていたんだ。色々回ってみたけど、手掛かりもなくて。もしかしたら、金奈市を出ていないのかもしれないって思ったから。鉄道博物館の職員に立候補したんだ。なんとなく、ここにいるといつかノエリに会えるんじゃないかって気がしたから」
「そんなに私の事を想っていてくれたの・・・」
「理由なんてわからないけど、僕のハートが喜んでいたから。・・・だから、10憶だって用意できたんだよ」
胸がいっぱいになって、ノエリは何も言えなくなった。
「ノエリ、今どうしているの? 」
「・・・ここからバスで15分の所に、古いアパートがあるから。そこに住んでいる。田舎の人は何も言わないから・・・」
「え? こんな寒いところに1人でなんて、そんなのダメだよ! 一緒に帰ろう」
「・・・でも・・・」
「おーい、どうしたんだ? 」
瑠貴亜がやって来た。
「あ、父さん! ノエリが・・・ノエリが見つかったんだ」
ノエリはそっと瑠貴亜に会釈した。
「へぇー。良かったじゃないか」
「うん、それでノエリも一緒に帰ろうって言ってたんだ」
「それはいい事だ。だが、ここは寒い。女性は冷えが天敵だよ、部屋に入ってもらったらどうだ? 羽弥斗の部屋はダブルだから、2人でも入れるし」