終着駅は愛する彼の腕の中
それから少し遅くに家に帰ってきた羽弥斗。
ノエリはもうお風呂を済ませて寝る準備をしていた。
羽弥斗もお風呂を済ませて一息ついた。
部屋で一息ついて時計を見ると、23時を回っていた。
ノエリもそろそろ寝ようと、寝室へ向かうとしていた。
コンコン。
ノックの音がして、ノエリはドアを開けた。
「やぁ、もう寝るとこ? 」
羽弥斗がやって来た。
「今寝ようかと思っていたけど。どうしたの? 」
「いや、今日は一緒に寝たいから来たんだよ」
ギュッと抱きしめて、羽弥斗はノエリを抱きかかえ寝室へ向かった。
ベッドに入ると添い寝して、羽弥斗はノエリの髪をすくった。
「ねぇノエリ。そろそろ入籍しよう」
「でも・・・まだ・・・」
「もう大丈夫だよ。幸弥兄さんが、ちゃんとしてくれたから」
「そうだけど・・・」
何か言いたげな顔をしているノエリ。
そんなノエリの額に額をくっつける羽弥斗。
「まだ、何かあるの? 」
「・・・私が入籍してしまうと、父と母の事を見る人が居なくなってしまうので・・・」
「ノエリはどうしたい? 」
「どうしたいって? 」
「城里のままがいいか、早杉になりたいかどっち? 」
「そんな事。・・・貴方と結婚するなら、早杉になるしかないじゃない」
「そんな事ないよ」
「え? 」
ぎゅとノエリを抱きしめて、羽弥斗はそっと微笑んだ。
「僕が城里になればいいじゃないか」
「え? そんな事できないでしょう? 貴方はこの家の跡取りでしょう? 」
「まぁ、一応ね。でも、元々僕は養子に来ているから。それに、ひまわりもいるから大丈夫だよ」
「そう・・・なの? 」
「うん。僕は拘らないよ。この家に養子に来た理由も、ちょっと複雑だったし。ひまわりもしっかりして来たから、僕がいなくても大丈夫だって信じているから」
「お父さんとお母さん、許してくれるの? 」
「ああ、大丈夫だよ。名字がどうであれ、何も変わらないよ。大切なのは、自分がどうしたいかだよ」
「・・・ありがとう。・・・」
「じゃあ、僕が城里になってもいい? 」
「はい、そうなると嬉しい」
「じゃあ、僕がノエリの家にお婿さんに行くよ」
見つめ合って微笑み合う羽弥斗とノエリ。
そっと唇が重なり、深いキスが繰り返される。