終着駅は愛する彼の腕の中
 
 痛みは次第に心地よさに変わってゆく・・・

 体中に注がれてくるエネルギーが心地よくて、また、エイミは頭が真っ白になってしまった。


「・・・愛しているよ・・・」

 耳元で羽弥斗が囁いてくれる。

 その言葉に、思わずエイミも反応しそうだった。

 だが・・・

 これはただの演出。

 この場を盛り上げるために言ってくれているだけだと、エイミは思い込んで気持ちを抑え込んでしまった。



 だが・・・

 絶頂を感じた時。

 エイミは何故か涙が溢れてきて止まらなくなってしまった。

 悲しいわけじゃないのに、どうして泣けてくるのか判らなかった。


 泣いている姿なんて、お客様に見せれないと思ったエイミは背を向けていた。


 すると、羽弥斗がそっとエイミを背中から抱きしめてくれた。


「一人で泣かないで。僕がそばにいるじゃないか」

「・・・泣いていません。・・・」

 強がりを言うエイミが可愛くて、羽弥斗はギュッと抱きしめた。


「強がり言ってても、かわいいね。約束するから、3日後にもう一度会ってくれる? お店じゃなくて個人的にね」

「・・・本当に、10憶なんてくれるの? 」

「ああ、本当だよ。僕は、約束は必ず守る男だよ。だから、君は絶対に僕以外の人とエッチしちゃだめだよ。お店にも、もう出ちゃダメだよ。ここの店長には、僕が話しておくから」

「・・・わかった・・・」


 半分信じられない気持ちがあったエイミだが、とりあえず羽弥斗の言うとおりにする事にした。




 とりあえず。

 今夜は羽弥斗だけお客で接客をして、エイミはそのまま帰る事にした。

 通常料金よりかなり多めに払ってくれた羽弥斗が


「エイミちゃん、今日は体調が悪いみたいですから。もう帰らせてあげて下さい。その代わり、僕が料金10倍払いますから」

 と言って現金で50万円支払った羽弥斗。

 番頭さんもびっくりしていた。

 これだけの大金をためらうことなく支払ってしまう羽弥斗。

 今まではなかった。 
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