終着駅は愛する彼の腕の中
「じゃあ、約束通り3日後に会おう。場所はまた連絡するから。さっき教えた携帯番号、忘れないでね。君の番号も、ちゃんと登録したから」
店の外で羽弥斗が言った。
エイミは薄手のカーティガンを羽織って、そのまま帰り支度をしていた。
しばらくすると黒いハイヤーが来た。
羽弥斗の傍でハイヤーが止まった。
「さぁ、乗って。家まで送るから」
「いいえ・・・結構です。歩いて帰れますから」
「なに言っているの。こんな遅い時間に、女の子一人で帰せないでしょう? 」
「子供じゃないし・・・なれているし・・・」
「君が大丈夫でも、僕がダメなんだ」
そう言って、半ば強制にエイミを車に乗せ、隣に乗った羽弥斗。
ハイヤーは走り出した。
エイミの家は、繁華街から車で20分ほどの場所にある住宅街。
住んでいるのは安いアパートで古そうな建て具合だ。
「ここ? 」
羽弥斗が言うと、エイミはこくりと頷いた。
車から降りると、エイミは不愛想な顔をした。
「送ってくれてありがとうございます・・・」
「こっちこそ、有難う。今夜は最高だったよ。また連絡するから」
「はい・・・」
エイミは家に向かった。
アパートの2階に住んでいるエイミ。
羽弥斗はエイミが家に入るまで見届けると、車に乗り帰って行った。
家の中に入ったエイミ。
ワンルームのアパートに、ベッドが1つ置いてある。
小さなコタツのテーブルと、クッションが1つ。
畳の上に2畳ほどのカーペットが敷いてある。
小さなタンスと衣装ケース、その横に小さな棚と鏡が置いてある。
窓際にちょっとした棚が用意してあり、そこには位牌が置いてある。
位牌の前には写真が・・・。
エイミは位牌の前に座り手を合わせる。
「・・・ごめんね、お父さん、お母さん・・・」
小さな声で謝るエイミ。
一息ついて、クッションに座ると、エイミはギュッと口元の引き締めた。