甘やかされ婚~年上の旦那様は、獣な本性を隠している~
新妻は甘やかされまくり
三月、下旬。
ほぼ例年通りで、東京に桜の開花宣言が出たその日の、深夜三時――。
懐中電灯を片手に、広いフロアを一周。
その夜二度目のラウンドを終えて、私はようやく休憩を取ることができた。
「お疲れ様です」
頭の後ろで髪を纏めていたヘアクリップを外す。
ふわっと肩にかかる茶色い髪を揺らしながら、フロアの片隅にある休憩室に入った。
「あ、真由。こっちこっち。おいで~」
名前を呼ばれてそちらに目を向けると、大学時代からの親友で同期の祥子が、手招きをしていた。
ローテーブルを挟んで、二脚の古びたソファが向き合っている。
彼女は、先に来ていた先輩たちと六人で、ややゆったりめに腰かけていた。
先輩たちも、私に「お疲れ~」と異口同音に声をかけてくれる。
私が夜食の入ったランチバッグを持っているのを見て、テーブルの前を空けてくれた。
「あ、すみません」
ペコペコ頭を下げながら、ソファのど真ん中のスペースに移動する。
思わずドスッと勢いよく腰かけてから、私は「ふううっ」と声に出して大きな息を吐いた。
「どう? そっちのチーム。落ち着いてる?」
テーブルに置いたランチバッグを早速開けていると、隣から祥子が訊ねてきた。
「今日の入り、『仏滅だ~』って嘆いてたじゃない」
ほぼ例年通りで、東京に桜の開花宣言が出たその日の、深夜三時――。
懐中電灯を片手に、広いフロアを一周。
その夜二度目のラウンドを終えて、私はようやく休憩を取ることができた。
「お疲れ様です」
頭の後ろで髪を纏めていたヘアクリップを外す。
ふわっと肩にかかる茶色い髪を揺らしながら、フロアの片隅にある休憩室に入った。
「あ、真由。こっちこっち。おいで~」
名前を呼ばれてそちらに目を向けると、大学時代からの親友で同期の祥子が、手招きをしていた。
ローテーブルを挟んで、二脚の古びたソファが向き合っている。
彼女は、先に来ていた先輩たちと六人で、ややゆったりめに腰かけていた。
先輩たちも、私に「お疲れ~」と異口同音に声をかけてくれる。
私が夜食の入ったランチバッグを持っているのを見て、テーブルの前を空けてくれた。
「あ、すみません」
ペコペコ頭を下げながら、ソファのど真ん中のスペースに移動する。
思わずドスッと勢いよく腰かけてから、私は「ふううっ」と声に出して大きな息を吐いた。
「どう? そっちのチーム。落ち着いてる?」
テーブルに置いたランチバッグを早速開けていると、隣から祥子が訊ねてきた。
「今日の入り、『仏滅だ~』って嘆いてたじゃない」