ギザギザハートのマイフェアレディ
一話
○大学の構内。カフェテリア。
男「おめーがトロいからランチ終わってんじゃねーか!」
ガヤガヤするカフェテリアが一瞬静まり返って
茉弥と男に視線が集まる。
茉弥「ご…ごめん…」
男「おめーのせいで飯食えなかったんだから外でなんか買ってこいよ。
おめーのおごりだからな。」
茉弥「わかった…。」
女子A「またモラハラ彼氏にいじめられてる…。」
女子B「え、今の誰?」
女子A「文学部3年の桑水流茉弥。
いっつもあーやって怒鳴られてんの…
かわいそーだけど、なんつーか」
女子B「あれ絶対その子も原因あるよね」
女子A「それなー。」
女子たちの会話が聞こえている茉弥。
顔を恥ずかしさで紅潮させながら、早足にカフェテリアを出ていく。
茉弥(わかってるのよ…そげんこつは。
あたしがブスで田舎もんで大人しかじゃっで…。)
茉弥(でも…あたしにはあん人しかおらんから…。
あたしが言うことをきいてれば、
なんも問題なかが。)
道行くおしゃれで楽しそうなカップルを見る茉弥。
茉弥(あたしもあんな…。)
茉弥(うんにゃ、あたしにはこれでも充分すぎるが。
あん人は優しいときもあるし、
こんなあたしと付き合ってくれてるし。)
○コンビニ
茉弥(お弁当と、サンドイッチと、カップラーメンと…
念のため甘いもんとか…)
次々かごに入れる茉弥。
すれ違った男性にぶつかってしまう。
メガネが飛んでいく。
男性「おっと、失礼!
おけがはありませんか?」
ものすごく端正な顔立ちの男性だが、
メガネがないため顔が見えていない茉弥。
茉弥「す…すいもはん!
あなたこそおけがはしちょりませんか?」
男性「大丈夫ですよ。
あなたのような可憐な女性にぶつかっても、
けがなんかしませんよ。」
茉弥(…おかしな人じゃっどなあ…。)
男性「これ、全部あなたが食べるんですか?
たくさん食べますね!」
茉弥「いえ…これは彼氏が…」
男性、腑に落ちない顔で
男性「…こんな量を、恋人に買いに行かせる…?
ずいぶんひどいですね。」
茉弥、少しむっとして
茉弥「そげんこつ、初対面のあんたに言われたくなか。」
男性「それは失礼いたしました。
…お詫びに、そのお買い物、お代は僕が持ちますよ。」
茉弥「え…いいです…。」
男性「そう言わず、ほら。」
茉弥「いや…」
押し問答をしているうちに、
男性が落ちていた茉弥のメガネを踏んで壊してしまう。
男性「あっ…」
茉弥「え?」
男性「このメガネ、あなたのですか…?」
茉弥「…。」
「大丈夫です。
そいじゃあこれで…。」
メガネを男性の手から奪って、
その場を立ち去ろうとする茉弥。
茉弥(…こげな変わった人と関わりたくなか。
はよ帰らんとあん人が腹を空かせて待っちょっで。)
しかし、男性は茉弥の腕をつかんで引き留める。
男性「大丈夫なわけないじゃないですか!
レンズ割れてますし…。」
茉弥「いえ、大丈夫です。
…きゃっ!」
茉弥、前が見えずに棚にぶつかってしまう。
男性「…放っておけないですよ。」
「失礼!」
ふわっと体が浮く茉弥。
気づくと、茉弥は男性にお姫様抱っこされている。
茉弥「な…なんすっとね!!」
男性「ちょっとお付き合い願いますよ、お嬢さん!」
○大学の構内。カフェテリア。
男「おめーがトロいからランチ終わってんじゃねーか!」
ガヤガヤするカフェテリアが一瞬静まり返って
茉弥と男に視線が集まる。
茉弥「ご…ごめん…」
男「おめーのせいで飯食えなかったんだから外でなんか買ってこいよ。
おめーのおごりだからな。」
茉弥「わかった…。」
女子A「またモラハラ彼氏にいじめられてる…。」
女子B「え、今の誰?」
女子A「文学部3年の桑水流茉弥。
いっつもあーやって怒鳴られてんの…
かわいそーだけど、なんつーか」
女子B「あれ絶対その子も原因あるよね」
女子A「それなー。」
女子たちの会話が聞こえている茉弥。
顔を恥ずかしさで紅潮させながら、早足にカフェテリアを出ていく。
茉弥(わかってるのよ…そげんこつは。
あたしがブスで田舎もんで大人しかじゃっで…。)
茉弥(でも…あたしにはあん人しかおらんから…。
あたしが言うことをきいてれば、
なんも問題なかが。)
道行くおしゃれで楽しそうなカップルを見る茉弥。
茉弥(あたしもあんな…。)
茉弥(うんにゃ、あたしにはこれでも充分すぎるが。
あん人は優しいときもあるし、
こんなあたしと付き合ってくれてるし。)
○コンビニ
茉弥(お弁当と、サンドイッチと、カップラーメンと…
念のため甘いもんとか…)
次々かごに入れる茉弥。
すれ違った男性にぶつかってしまう。
メガネが飛んでいく。
男性「おっと、失礼!
おけがはありませんか?」
ものすごく端正な顔立ちの男性だが、
メガネがないため顔が見えていない茉弥。
茉弥「す…すいもはん!
あなたこそおけがはしちょりませんか?」
男性「大丈夫ですよ。
あなたのような可憐な女性にぶつかっても、
けがなんかしませんよ。」
茉弥(…おかしな人じゃっどなあ…。)
男性「これ、全部あなたが食べるんですか?
たくさん食べますね!」
茉弥「いえ…これは彼氏が…」
男性、腑に落ちない顔で
男性「…こんな量を、恋人に買いに行かせる…?
ずいぶんひどいですね。」
茉弥、少しむっとして
茉弥「そげんこつ、初対面のあんたに言われたくなか。」
男性「それは失礼いたしました。
…お詫びに、そのお買い物、お代は僕が持ちますよ。」
茉弥「え…いいです…。」
男性「そう言わず、ほら。」
茉弥「いや…」
押し問答をしているうちに、
男性が落ちていた茉弥のメガネを踏んで壊してしまう。
男性「あっ…」
茉弥「え?」
男性「このメガネ、あなたのですか…?」
茉弥「…。」
「大丈夫です。
そいじゃあこれで…。」
メガネを男性の手から奪って、
その場を立ち去ろうとする茉弥。
茉弥(…こげな変わった人と関わりたくなか。
はよ帰らんとあん人が腹を空かせて待っちょっで。)
しかし、男性は茉弥の腕をつかんで引き留める。
男性「大丈夫なわけないじゃないですか!
レンズ割れてますし…。」
茉弥「いえ、大丈夫です。
…きゃっ!」
茉弥、前が見えずに棚にぶつかってしまう。
男性「…放っておけないですよ。」
「失礼!」
ふわっと体が浮く茉弥。
気づくと、茉弥は男性にお姫様抱っこされている。
茉弥「な…なんすっとね!!」
男性「ちょっとお付き合い願いますよ、お嬢さん!」
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