ギザギザハートのマイフェアレディ
二話
○車の中。後部座席に男性と茉弥。
茉弥「あの…。」
男性「はい?」
茉弥「どこへ向かっているのですか…?」
男性「メガネ屋さんですよ。」
茉弥「彼氏がごはんを待っちょるんですけど…。」
男性「女性に買い出しに行かせるなんてとんでもないやつです。
ましてやお金も渡さないなんて…。」
茉弥、再び少しムッとする。
茉弥「あん人のことをなんも知らんくせに…。」
「大体あんたは誰ね?
いきなり車に乗せて、
あんたの方が怪しかが。」
男性が目を丸くして、少しほほ笑んで答える。
男性「申し遅れました、
僕は本田篤志といいます。
以後、お見知りおきを。」
茉弥、一瞬戸惑う。
茉弥(本田…篤志!?
テレビとかによく出てる、
セレブのあの人!?)
(でも、顔が見えなくて本当かわからんがよ…。)
茉弥、顔を確認しようと目を凝らしてみたり少し近づいてみたりする。
すると、ふいに篤志が茉弥の頬に手を添え、
顔を近づけてくる。
篤志「…ほら、見えます?
本物の“ホンダ”ですよ。」
茉弥(顔…近い…!)
ドキドキしてしまう茉弥。
茉弥「や…やめっくいやい!
恋人でもなかのに、
こげん…!」
篤志「失礼しました。
…可愛らしいですね。」
赤くなる茉弥。
茉弥(こげな有名人が、なにゆうちょっとけ!
面白がられちょいが!)
篤志「…その言葉。」
茉弥「え?」
茉弥、嘲られると身構える。
篤志「鹿児島ですよね?
祖母が住んでるんです。
懐かしい響きです。」
茉弥、眉根を寄せて、唇をかみしめる。
目には涙がにじむ。
茉弥(…いつも田舎もんちバカにされちょったこん言葉を、
そんなふうに言ってもらったのは
東京に出てきて初めてじゃ…。)
篤志、焦ってハンカチを差し出す。
篤志「すみません、お気に障りましたか?」
茉弥「いえ、なんでもありません。」
篤志「僕としたことが…
こんな美しい女性を泣かせてしまうなんて。」
茉弥「美しくなんかなかです!
バカにせんでください!!」
篤志「バカになんて!
あなたは充分美しいですよ。」
真剣な眼差しの篤志。
戸惑う茉弥。
篤志「お詫びをさせてください。」
茉弥「いや、そんな…。」
篤志「今日から一年間、
あなたの望む生活を僕がサポートします。
衣食住、美容も教養も、何でも。」
茉弥、呆気に取られる。
茉弥「…はい?」
篤志「お嬢さん、お名前は?」
茉弥「桑水流茉弥…です。」
篤志「茉弥さん、僕はね。」
「こんなに美しく可憐な、
同郷の女性が、
不遇な目に遭っているのがとても心苦しい。」
茉弥「別に不遇では…」
篤志「それは失礼。
…あまり幸せな状態には見えなかったので。」
茉弥「………。」
篤志「大野さん、僕の家へ向かってください。」
大野「かしこまりました、旦那様。」
茉弥「えっ!?」
篤志、茉弥の手にキスをしながら
篤志「今日からあなたは僕のお姫さまです。」
「一年間の魔法を、楽しんでくださいね。」
○車の中。後部座席に男性と茉弥。
茉弥「あの…。」
男性「はい?」
茉弥「どこへ向かっているのですか…?」
男性「メガネ屋さんですよ。」
茉弥「彼氏がごはんを待っちょるんですけど…。」
男性「女性に買い出しに行かせるなんてとんでもないやつです。
ましてやお金も渡さないなんて…。」
茉弥、再び少しムッとする。
茉弥「あん人のことをなんも知らんくせに…。」
「大体あんたは誰ね?
いきなり車に乗せて、
あんたの方が怪しかが。」
男性が目を丸くして、少しほほ笑んで答える。
男性「申し遅れました、
僕は本田篤志といいます。
以後、お見知りおきを。」
茉弥、一瞬戸惑う。
茉弥(本田…篤志!?
テレビとかによく出てる、
セレブのあの人!?)
(でも、顔が見えなくて本当かわからんがよ…。)
茉弥、顔を確認しようと目を凝らしてみたり少し近づいてみたりする。
すると、ふいに篤志が茉弥の頬に手を添え、
顔を近づけてくる。
篤志「…ほら、見えます?
本物の“ホンダ”ですよ。」
茉弥(顔…近い…!)
ドキドキしてしまう茉弥。
茉弥「や…やめっくいやい!
恋人でもなかのに、
こげん…!」
篤志「失礼しました。
…可愛らしいですね。」
赤くなる茉弥。
茉弥(こげな有名人が、なにゆうちょっとけ!
面白がられちょいが!)
篤志「…その言葉。」
茉弥「え?」
茉弥、嘲られると身構える。
篤志「鹿児島ですよね?
祖母が住んでるんです。
懐かしい響きです。」
茉弥、眉根を寄せて、唇をかみしめる。
目には涙がにじむ。
茉弥(…いつも田舎もんちバカにされちょったこん言葉を、
そんなふうに言ってもらったのは
東京に出てきて初めてじゃ…。)
篤志、焦ってハンカチを差し出す。
篤志「すみません、お気に障りましたか?」
茉弥「いえ、なんでもありません。」
篤志「僕としたことが…
こんな美しい女性を泣かせてしまうなんて。」
茉弥「美しくなんかなかです!
バカにせんでください!!」
篤志「バカになんて!
あなたは充分美しいですよ。」
真剣な眼差しの篤志。
戸惑う茉弥。
篤志「お詫びをさせてください。」
茉弥「いや、そんな…。」
篤志「今日から一年間、
あなたの望む生活を僕がサポートします。
衣食住、美容も教養も、何でも。」
茉弥、呆気に取られる。
茉弥「…はい?」
篤志「お嬢さん、お名前は?」
茉弥「桑水流茉弥…です。」
篤志「茉弥さん、僕はね。」
「こんなに美しく可憐な、
同郷の女性が、
不遇な目に遭っているのがとても心苦しい。」
茉弥「別に不遇では…」
篤志「それは失礼。
…あまり幸せな状態には見えなかったので。」
茉弥「………。」
篤志「大野さん、僕の家へ向かってください。」
大野「かしこまりました、旦那様。」
茉弥「えっ!?」
篤志、茉弥の手にキスをしながら
篤志「今日からあなたは僕のお姫さまです。」
「一年間の魔法を、楽しんでくださいね。」