ただ好きだから
「登坂さんは、明日は仕事じゃないの?」


「あぁ、うん。でも、午前は皆んなジムとか行くから集合時間は、バラバラだし、リハーサルは午後からだから」


「そうなんだね」   


「夏月…さん、いや、夏月か、夏、なっちゃん」


「何?」


「呼び方、どうしようかなぁと思って。なんて呼ばれてる?」


夏月(なつき)とか、(なつ)とかかなぁ」


「じゃあ、夏月かぁ。なっちゃんの方が可愛いかな」


「どっちでもいいよ〜」


とりあえず、どちらでも恥ずかしい。


照れくさそうに笑う夏月。


「なっちゃん」


「なに」


「夏月」


「なぁに」


「どっちもいい」


ニヤける登坂。


「ねぇ、仕事なら私、長居したらダメだね」


話を戻す、夏月。


「え、まだ大丈夫だよ。なっちゃんは、明日何時に帰る?」


「なっちゃんになったの?」


「うん、でもその時の気分で夏月とか、夏とかなるかも」


「じゃあ、私は臣くんって呼んでもいいのかな?」


「いいよ」


「そっか…。あ、明日は、何軒かお得意さんのお店に顔出してから帰ろうかなと思ってるけど」


「じゃあさ、朝か昼か食事する時間とれる?」


「うん、大丈夫だと思う」


「やった、明日も会える」


登坂は嬉しくて思わず、夏月にハグする。


まだ、いきなりのハグには慣れていないせいか、つい体を硬らせてしまう夏月。


「ふふっ、可愛いな。ドキドキしてるの?」


「するよぉ、まだ、全然慣れないもん。臣くんは、ドキドキしないの?」


「ドキドキするよ。好きな人にハグするの嬉しいし。明日は、ハグ出来ないかもしれないから、今日いっぱいしとこ」


登坂はニコニコして、夏月にハグする。
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