ただ好きだから
その後、吉則と3人で食事後のコーヒーを飲みながら、話は続いた。


吉「今日は仕事休みだったの?」


臣「久しぶりの休みだったんで、ちょっと遠出してみようと思って」


吉「あのバイク、レンタルだよね?」


臣「そうなんですけど、ハズレでしたね」


苦笑いの登坂。


吉「自分のバイクは?」


臣「乗る時間あんまりないし、マンションの駐車場に置きっぱになりそうで」


吉「そっかぁ。夏月が東京にいた時はまぁまぁ乗ってたよな」


臣「夏月さん、東京にいたんですか?」


夏「うん、東京の大学行ってたから」


「卒業してから、東京で働いてたしな」


「そう。バイクの方が何かと便利だったからね。よっちゃんは、高校の時からバイク乗ってたでしょ」


「ああ、この辺はバスがあんまないし、親も自営で忙しいかったからさ、バイク通学よ」


「へぇ、じゃあ、二人とも今もバイクにはよく乗るんですか?」


吉「まぁ、俺はしょっちゅう乗るけど…」


夏「私は、錆びない程度には…」


吉「錆びない程度って、どの程度だよ」


「月1か、多くて2かな。笑 今は、トラックの方が便利だし」


吉「年頃の女がトラックばっか乗り回してないでっ、痛っ」


夏月が肘で吉則の脇腹を突く。


「余計なこと言わないで、いいから」


「お前っ、俺は心配してやってるんだぞ」


「あーあーあー、もう耳がタコになるから」


夏月が耳を塞ぐ。


「こんなじゃじゃ馬を嫁に貰ってくれる奴…っ、痛いって」


次は、グーで二の腕にパンチが入れる。


「もうっ、登坂さんの前でそんな話しなくていいでしょ」


登坂が笑いを堪えているのを、横目で見る夏月。


「いやっ、すいません。可愛いなぁと思って」


登坂が弁解する。

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