寡黙なダーリンの秘めた愛情
「あとは政義専務と義一だけど社長に任せておけば大丈夫だと思うわ。言い逃れはできない状態に追い込んだから」

「ああ」

「これでひとまずイッケンラクチャクね?」

゛今度は遠○の金さんかよ゛

と、ここにいる誰もが脳内で突っ込みをいれるが言葉にはしない。

口にしたら大切な何かを失う気がするからだ。

「用がすんだら、帰ってくれないか?美咲と二人きりになりたい」

「はあ?こんなに色々してくれた恩人に、そんな言葉を投げつけていいと思ってるの?」

蓮のぶれない美咲゛愛(ラブ)に、怒った美鈴が大声で非難する。

「まあ、まあ。あんなにザメザメと泣いている蓮を見たら、仕方ないな、って甘やかすことができるよ。まだやり残したことがあるでしょ?退散退散」

怒る美鈴を、なだめながらジムとホイットニーが部屋を出ていった。

「ああ、美咲・・・。全部俺のせいだな。俺は社長の座なんてどうだっていい。美咲のためなら一から会社を起こしたっていいんだ。美咲が、べべが傷つかなくてすむのならなんだってする」

再び涙目になる蓮に、

「おじいちゃんから蓮くんとの結婚話を持ちかけられたとき、正直、蓮くんは会社の社長の座が欲しくて私と結婚するんだと思ってたの。でも、今は蓮くんがどれだけ私のことが好きで、それ以外はおまけだたって思ってるか、身に染みてわかってるから」

゛心配しないで゛

と、美咲 は笑った。

ようやく争い事は去った。

「二人とも、水天宮の神様の言い付けを守ったね」

そう言って二人はおでこをくっつけて笑った。
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