寡黙なダーリンの秘めた愛情

出産準備

それから間もなく、義一と義次の不正が明らかになり、政義も辞職した。

身内のいざこざが原因、いうこともあり警察への被害届は出さなかった。

赤池由利亜も無事、ふるさとで療養を開始し、両親の元で、精神面も安定に向かっているようだ。

入院から一週間後、美咲は無事に点滴が外され、張り止めの内服薬に切り換えて、自宅退院することができた。

だが、まだ24週と4日。

主治医の診断書をもらい、休職扱いになった美咲は、蓮の実家に厄介になることになった。

部屋がたくさんあり、お手伝いさんも常駐しており、何よりも蓮が一緒に寝泊まりできるというのが第一の理由で、美咲の実家ではなく、城之内宅が療養先に選ばれた。

「美咲、遠慮なく恵子に何でもお願いするのよ?」

「そうよ、美咲ちゃん。智恵子には昔、蓮をあずけていた恩もあるから、今こそ恩返しの時ね」

と、従姉妹で親友同士の母親達は、その事になんの不服もないようだ。

「お世話になります。恵子おばさ・・・お義母さん」

「まあ、恵子おばさんでもお義母さんでも好きに呼んでいいのよ。ストレスは敵だからね。遠慮しないで」

出産後も、そのままサポートしようと、城之内家には、既に出産後のグッズや衣類が集められている。

何せ、城之内家にとっても、八雲家にとっても初孫だ。

喜久蔵には知らせていないが、喜久蔵の待望の玄孫でもある。

かなりのプレッシャーを感じるものの゛みんなに待ち焦がれてもらえるべべは幸せだな゛と美咲は感じていた。
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