寡黙なダーリンの秘めた愛情
25週に入り、7ヶ月になった。

今日は土曜日、待ちに待った母親学級、いや両親学級の日だ。

先日まで入院していた、べべを出産予定のH病院主催。

ベビー用品の会社も協賛していて、参加すればいろいろな試供品ももらえるらしい。

「蓮くん、楽しみだねえ」

満面の笑みで蓮を見上げる美咲に、日頃は表情の乏しい連も笑顔になる。

「そうだな。色々学んで、べべが生まれてきた時に何でもできるようになってないとな」

蓮は本当に優しい。

゛美咲は俺が育てた゛

と豪語するだけあって、他の妊婦にも思いやりがあるし、勉強熱心だ。

何とかクラブの出産・育児雑誌増刊号を何冊も購入し、読破しているくらいだ。

蓮と仲良く手を繋ぐことが恥ずかしかった美咲だが、両親学級に参加するくらいの夫婦は、ほとんどがラブラブで、手を繋ぐぐらいは当たり前の感じを醸し出しており、気にならなくなった。

「それでは、お父さん方には妊婦体験をしていただきます」

参加者の自己紹介が済むと、最初に言い渡されたのがそれだった。

七キロ位の重りが入った特殊な上着を装着された蓮。

その姿がおかしくて、かわいくて、美咲は思わず写真におさめてしまった。

「結構重いんだな。下も見えづらいし、体験してみて良かった。美咲の苦労が共有できたよ」

照れもせず感心している蓮の視点は、いつでも美咲中心だ。

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