寡黙なダーリンの秘めた愛情
続いて沐浴体験、ミルクの授乳体験、おむつ交換、抱っこの仕方など、実践で身に付けておきたい事項を余すところなく教えてもらった。

妊婦マッサージや出産時の呼吸法、ベビーマッサージなど、蓮は美咲以上に熱心に取り組んだ。

一緒に参加した妊婦の中には、美咲と同じように切迫早産で入院し、退院した経験を持つ人や、多胎妊娠といって、双子や三つ子を妊娠している人もいて、自分だけが大変な目にあっていたのではないのだな、と実感できて心強かった。

仲良くなった参加者数名とSNSのグループを作ったり、参加賞のベビーグッズの試供品やパンフレットを貰って、充実した時を過ごした。

「なんか、いろんな人の話が聞けて安心したー」

「そうだな。めちゃくちゃ練習したから、育児は俺にまかせとけよ。美咲は寝とけばいいから」

高校や大学の同級生で結婚した友人は少ない。

だが、会社の先輩や取引先の人から、妊娠出産後に

゛夫が協力してくれない゛
゛女としてみてくれない゛
゛無関心゛

といった愚痴を聞いたこともあったのだが、蓮には全く当てはまらないようだった。

世の中では彼のような人をスパダリと言うのだと萌に教えてもらった。

『産後に落ちこんでも、うまく子育てできなくても、体型が戻らなくても、ずっとこのまま優しくしてくれるかな?』

そんな不安を口にしたら、萌も美鈴もホイットニーとジムも

「どんな美咲も愛してるって叫ぶに決まってる!」

と口を揃えて笑った。

< 108 / 129 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop