寡黙なダーリンの秘めた愛情
いよいよ迎えた28週1日 。

時々お腹が張るものの、張り止めの薬を飲み忘れることなく順調に過ごすことができた。

「全部、蓮くんや両親、お義母さん、お義父さん、周りの友達の協力のおかげだね」

美咲は心から感謝し、散歩がてら、城之内家の近くの水天宮、そう、あの戌の日に帯祝いをしてもらった場所までやって来ていた。

以前、会社の階段で倒れて入院したこともあり、

「一人で行動してはいけない」

ときつく周囲の人々に念を押されていたため、美咲は姑である恵子を誘って参拝することにした。

「この水天宮様のお陰でここまでこれたのだと思います。ひとまずお礼をしておかないと」

幸い、このお宮様には階段がないから安心してお参りができると氏子からも評判だ。

「そう。あの時は用事でついてこられなかったけど、私からもお礼を言わなくちゃね。そしてこれからのこともしっかりお願いしないと」

そうやって微笑む恵子は、美咲にとっては優しい二人目の母親だ。

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