寡黙なダーリンの秘めた愛情
それから、美咲の元に恵子が戻って来たタイミングで、それに気づいた歩花の母親が合流。

再度、歩花とその母親が、恵子と美咲に謝罪をし、円満に別れた。

「あの子が横領事件の?人は見かけによらないのねえ」

恵子は、歩花が美咲にしてきた嫌がらせについては何も知らない。

心配させまいと、美咲が蓮や誠也に内緒にしてほしいと頼んだのである。

「そうですね。今は反省してるみたいだし、彼女、妊娠5ヶ月なので、母として改心してくれると信じてます」

美咲の言葉に、恵子も同意を示す。

「まあ゛悪に強ければ善にも強し゛と言うわ。きっと大丈夫よ」

悪事に手を染めた人が、改心すればものすごい善人になるという諺。

何事も柳のように受け流す・・・。

そんな恵子の穏やかな雰囲気が、緊張していた美咲の心を解していった冬の午後だった。
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