寡黙なダーリンの秘めた愛情

誕生日の贈り物

順調に妊娠生活を送っていた35週2日。

それは突然に起きた。

目が覚めると、7分間隔で訪れる周期的な張りと痛み。

下着に何かが漏れでる感覚がつたう。

「い、痛、い・・・」

「美咲・・・?えっ?美咲、どうした?」

クイーンサイズのベッドで、美咲の横に寝ていた蓮が慌てて体を起こす。

「なんか変なの・・・張りが、おさまらなくて・・・。それにね、何かがこぼれている気がするの」

お腹を押さえて顔をしかめる美咲に、

「美咲、大丈夫だ。ゆっくり深呼吸して。今から病院に電話して指示をもらうから、ここで安静にしておくんだ」

冷静に蓮が指示を出す。

「うん。ごめんね」

周期的にやってくる痛みを逃しながら、美咲はスマホを操作する蓮を見て微笑んだ。

23週の時に切迫早産で入院してから、いつかこんな日が来るのではないかと内心はビクビクしていた。

28週を最初の目標に、次は37週と望みを繋いできたが、少し早い出産になりそうな気配だ。

美咲は、テキパキと先を見越して動く蓮をみて、とても頼りになる旦那様でありがたいな、と痛みに耐えながら考えていた。

「美咲、直ぐに産婦人科に来てくれって言われた。俺が運転していくから、美咲は母さんと後ろに乗ってくれ。入院の荷物は俺が準備する」

いつもは、美咲にデレデレで、美咲が怒ったり不貞腐れると動揺してオロオロする蓮。

゛でも、いざとなるとこうやって頼りになるんだもの゛

蓮に支えられ、話を聞いて飛んできた恵子に励まされながら、美咲はワゴン車に乗り込んだ。
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