寡黙なダーリンの秘めた愛情
3月14日、ホワイトデー。

それはくしくも、蓮の誕生日だった。

パパと同じ日に生まれたべべは、美咲にも蓮にも最高のプレゼントをくれた。

「美咲、お疲れ様。9ヶ月大変だったね。これからべべは世界に出て、周りの力を借りながら自力で生きていく。一緒に助けていこうな」

べべは小さく生まれ、少し呼吸が不安定だからということで、顔を見せてもらうとすぐにNICUに連れていかれた。

美咲が産後の色々な処置をされている間、蓮は山中医師の話を聞き、両親や親戚に連絡を取ってくれた。

「でも、結局小さく生んでしまって・・・べべにもみんなにも申し訳なくて・・・」

部屋に戻った美咲はやや出血量が多めだったため、子宮の収縮を促す点滴をされていた。

「゛ほとんどの赤ちゃんは自分で生まれる時期を決めて生まれてくる゛って聞いたことがある。少し早くても、アイツはアイツのタイミングで生まれてきたんだろう。俺たちの子供だ。きっと貪欲だからこれからぐんぐん大きくなるさ」

゛小さく生んで心ない言葉をかけられる妊婦もいるというのに、私の旦那様はなんて思いやりがあるのだろう゛

美咲は手を伸ばして、ぎゅっと蓮に抱きついた。

「点滴が終わって落ち着いたら、NICUに行こう。新生児科の先生と看護師が説明してくれるそうだ」

蓮は、そう言うとポンポンと抱き締めた美咲の背中をなだめるように叩いていた。

「そうだ。蓮くん」

体を起こして蓮の顔を覗き込んだ美咲は

「お誕生日おめでとう。プレゼントはお家に置いてきちゃった」

と言った。

微笑む美咲に、蓮が満面の笑みを返す。

「美咲とべべが無事だったことが最高のプレゼントだよ」

再び抱き締めてくれた蓮は、間違いなく美咲にとっての゛スパダリ゛に違いない。

< 117 / 129 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop