寡黙なダーリンの秘めた愛情
「美咲、疲れただろ?」
披露宴と二次会を終えてホテルのスイートルームに入った蓮と美咲は、ソファーに腰を下ろした。
「ううん。大丈夫。蓮くんこそ疲れたんじゃない?昨日も徹夜だったんでしょ?」
「美咲との結婚式と新婚旅行のためだ。多少の無理くらいするさ」
急に決まった結婚式だったため、製品開発部長の蓮には負担が大きかった。
新婚旅行は7日間。
美咲の留学先であるアメリカのとある州を訪れる予定となっている。
世界の富裕層が訪れる有名な病院があり、最新機器の開発利用も盛んだ。
観光地としてはあまり見るべきところはないが、学ぶべきところはたくさんある。
大学時代の友人との再会と蓮の紹介が目的。
美咲も一年ぶりのアメリカにワクワクしていた。
「美咲」
「蓮くん・・・」
手にしたシャンパングラスを、ゆっくりと美咲の手から取り上げ、蓮がそれをテーブルに置いた。
「ひいじいさんのこともあるし、俺も子供は欲しいから避妊はしない。自然に任せていいか?」
今日は新婚初夜だ。
いちいち確認してくれる蓮は誠実だと思う。
「うん。それでいいよ」
「美咲・・・」
優しく美咲に触れてくる、こんな蓮は、実は初めてではない。
美咲の20歳の誕生日。
アメリカの美咲の留学先に、美鈴とともにやって来た蓮と、一度だけ身体の関係になったことがある。
酔っ払った蓮はいつになく弱気だった。
妹のように弱虫で頼りない美咲に全身で助けを求めていた。
自らもお酒に酔っていた美咲は、慰める術を持たず、求められるまま蓮に初めてを捧げた。
恋人ではない二人の関係はその一度だけ。
その時のことには触れぬまま、二人は今日の日を迎えた。
「あのとき、酔っていたとはいえ、美咲の初めてを貰えて俺がどれ程嬉しくて安心したか、お前はわからないだろうな」
ボソッと呟いた蓮の声は小さすぎて、美咲の耳には届かない。
「えっ?何?」
「いや、全身で俺を感じろ、って言ったんだ」
真っ白な肌を真っ赤に染める美咲を見て、蓮が優しく微笑む。
恋人ではない美咲を妻として抱く蓮の心情はどれだけ辛いのだろう。
美咲の悲しげな微笑みは、夢中で美咲を抱く蓮の瞳には映ることはなかった。
披露宴と二次会を終えてホテルのスイートルームに入った蓮と美咲は、ソファーに腰を下ろした。
「ううん。大丈夫。蓮くんこそ疲れたんじゃない?昨日も徹夜だったんでしょ?」
「美咲との結婚式と新婚旅行のためだ。多少の無理くらいするさ」
急に決まった結婚式だったため、製品開発部長の蓮には負担が大きかった。
新婚旅行は7日間。
美咲の留学先であるアメリカのとある州を訪れる予定となっている。
世界の富裕層が訪れる有名な病院があり、最新機器の開発利用も盛んだ。
観光地としてはあまり見るべきところはないが、学ぶべきところはたくさんある。
大学時代の友人との再会と蓮の紹介が目的。
美咲も一年ぶりのアメリカにワクワクしていた。
「美咲」
「蓮くん・・・」
手にしたシャンパングラスを、ゆっくりと美咲の手から取り上げ、蓮がそれをテーブルに置いた。
「ひいじいさんのこともあるし、俺も子供は欲しいから避妊はしない。自然に任せていいか?」
今日は新婚初夜だ。
いちいち確認してくれる蓮は誠実だと思う。
「うん。それでいいよ」
「美咲・・・」
優しく美咲に触れてくる、こんな蓮は、実は初めてではない。
美咲の20歳の誕生日。
アメリカの美咲の留学先に、美鈴とともにやって来た蓮と、一度だけ身体の関係になったことがある。
酔っ払った蓮はいつになく弱気だった。
妹のように弱虫で頼りない美咲に全身で助けを求めていた。
自らもお酒に酔っていた美咲は、慰める術を持たず、求められるまま蓮に初めてを捧げた。
恋人ではない二人の関係はその一度だけ。
その時のことには触れぬまま、二人は今日の日を迎えた。
「あのとき、酔っていたとはいえ、美咲の初めてを貰えて俺がどれ程嬉しくて安心したか、お前はわからないだろうな」
ボソッと呟いた蓮の声は小さすぎて、美咲の耳には届かない。
「えっ?何?」
「いや、全身で俺を感じろ、って言ったんだ」
真っ白な肌を真っ赤に染める美咲を見て、蓮が優しく微笑む。
恋人ではない美咲を妻として抱く蓮の心情はどれだけ辛いのだろう。
美咲の悲しげな微笑みは、夢中で美咲を抱く蓮の瞳には映ることはなかった。