寡黙なダーリンの秘めた愛情

真実の断片

「今だから白状するけど、僕たちは蓮から遣わされた騎士だったんだよ」

「?」

蓮がトイレに消えたとき、テーブルに肘をついて顎をのせた状態のジムが言った。

「騎士?」

「あら、失礼ね。私は騎士じゃなくて守護天使よ」

訳のわからないホイットニーとジムの会話に益々美咲の頭が傾く。

ホイットニーは26歳。

美咲とホイットニーが出会った時、彼女は21歳で、社会人枠で美咲と同じ2年次に編入してきた。

ジム32歳は、美咲が5ヶ月通った語学学校の先生で当時は27歳だった。

日本に長く住んでいたらしく、日本語も堪能で本当にお世話になった。

しばらくして、偶然にもジムとホイットニーが恋人同士とわかり、大学に入学してからは、公私ともに二人に助けてもらった。

それはそれは、お世話に...。

「もしかして、蓮くんがジムに頼んだの?」

アメリカでの学生生活。

言い寄ってくる男性は、シャイな日本人の比ではなかった。

外国人男性なら免疫ができるかと思った美咲は甘かった。

童顔な日本人、ミステリアスなオリエンタル女性を気に入る欧米人が多いことを身をもって知った。

身体の大きい欧米人にボディランゲッジを加えて口説かれるのだから、初めは美咲も驚きで固まっていた。

そんな美咲を守り、対処法を教えてくれたのがホイットニーとジムだった。

まあ、ほとんど2人が相手を言い負かして門前払いしていたのだが...。

まるで蓮の欧米版か!

と、いいたくなるぐらい過保護な二人だと当時は思っていたのだが、これが蓮絡みとなるとあながち間違いではなかったらしい。

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