寡黙なダーリンの秘めた愛情
「美咲？本当に美咲か？怪我してないか？」

゛久しぶりに会った成人した女性に発する言葉がこれか゛

と美咲は蓮の過保護ぶりに再度苦笑した。

「大丈夫じゃないのは蓮くんでしょ？」

フフっと笑う美咲の顔は、2年の月日を経て色気のある女性へと変貌を遂げていた。

くしくも今日は二十歳の誕生日。

黒のベロア生地のワンピースに身を包んだ美咲は、間違いなくオリエンタルビューティーと呼ぶに相応しい美しさだ。

サイドを編み込みにしてハーフアップにした髪型は、美咲にとても似合っていて、お姫様のように見える。

元々色素の薄い髪は少し日に焼けてライトブラウンになり、色白だった肌は健康的な小麦色に変わっていた。

蓮は、そんな美咲の成長を目の当たりにして苦痛に顔を歪める。

「美咲、どうして．．．」

項垂れる蓮をどうしていいのか分からず、美咲はオロオロするばかりだ。

「お客様のお会計は先程の男性が支払われていきました。お部屋番号を伺っておりますのでお戻りになられてはいかがですか？」

バーテンダーに促され、美咲は蓮の腋をつかみ立たせると、店の外に出て宿泊者用のエレベーターホールを目指した。

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