寡黙なダーリンの秘めた愛情
「誕生日おめでとう」
そう言って蓮が別の保冷ケースから取り出したのは、20本の蝋燭が立ったストロベリータルト。
毎年贈ってくれたストロベリータルトとは形状が異なるが、アメリカの有名なパティスリーに注文したのだろう。
真っ赤な苺が艶々と輝くそれは、美咲の心を温かくするのに十分な美しさだった。
「蓮くんありがとう」
そんな満面の笑みを浮かべる美咲を蓮が見たのはいつが最後だろう。
2年前、アメリカ行きを告げた美咲は、蓮の顔をまともに見ようとせず突然避けるように蓮の前から姿を消した。
誕生日のストロベリータルトを受け取ってはくれたが、美咲の19歳の誕生日は遠く離れた異国の地にいる彼女の顔を見ることすら叶わなかった。
「食べてもいい?」
「全部食べてもいいぞ」
「半分、ううん、全部食べられそう」
「もう、蓮くん大好きとは言ってくれないんだな」
そういって泣きそうな顔をしている蓮を見て、寂しそうに美咲も告げた。
「もう、子供じゃないから...」
そう言って蓮が別の保冷ケースから取り出したのは、20本の蝋燭が立ったストロベリータルト。
毎年贈ってくれたストロベリータルトとは形状が異なるが、アメリカの有名なパティスリーに注文したのだろう。
真っ赤な苺が艶々と輝くそれは、美咲の心を温かくするのに十分な美しさだった。
「蓮くんありがとう」
そんな満面の笑みを浮かべる美咲を蓮が見たのはいつが最後だろう。
2年前、アメリカ行きを告げた美咲は、蓮の顔をまともに見ようとせず突然避けるように蓮の前から姿を消した。
誕生日のストロベリータルトを受け取ってはくれたが、美咲の19歳の誕生日は遠く離れた異国の地にいる彼女の顔を見ることすら叶わなかった。
「食べてもいい?」
「全部食べてもいいぞ」
「半分、ううん、全部食べられそう」
「もう、蓮くん大好きとは言ってくれないんだな」
そういって泣きそうな顔をしている蓮を見て、寂しそうに美咲も告げた。
「もう、子供じゃないから...」