寡黙なダーリンの秘めた愛情
「美咲、20歳になったら、その時は俺と二人で誕生日をお祝いしようって言ったの覚えてるか?」

事後のあと、蓮が美咲の耳元で囁いた。

酔っていたとはいえ、蓮は優しく美咲を抱いてくれた。

由利亜と喧嘩した寂しさからとはいえ、遠い昔の約束を利用してでも美咲を頼ってくれたこと、そして、その事以上に美咲の初めてを大切に扱ってくれた蓮には感謝しかない。

「美咲?聞いてる?」

蓮の問いかけに、寝落ち寸前の美咲の思考が現実世界に戻ってくる。

そういえば、6歳の誕生日にケーキを貰った後にそんな約束をしたような...。

「フフ、6歳の戯れ言をずっと覚えててくれたのね」

「当たり前だろ?美咲は゛その時には俺のものになる゛って誓ってくれたんだからな」

『大人になったら蓮くんの一番欲しいものをあげるね』

゛子供だった美咲はそんなことを高校生の蓮に告げていたのか゛

恋なんて知りもしないのに何て大胆なことを口にしたのかと、美咲は子供の頃の自分を笑った。

「でも、美咲は約束を守ってくれた。だからもう...」

゛離さないよ。2年後には結婚するから゛

微笑んで頷きながらも、眠りに落ちていく美咲には蓮のその最後の言葉は耳に入っては来なかった。
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