寡黙なダーリンの秘めた愛情
「吐き気と倦怠感、微熱、ですか。血液検査と尿検査をしますね。必要があればx-ray検査もしますが、妊娠の可能性はありませんか?」

ジムと訪れた病院は、八雲メディカルコーポレーションのお得意様であるH病院。

総合病院であるここは、内科、外科、整形外科をはじめ、産婦人科や皮膚科などのマイナー科も揃う大規模な病院だ。

美咲は個人病院で大丈夫だと言ったのだが、過保護なホイットニーとジムはそれを許してくれなかった。

蓮は連続して会議に参加しており、美咲の不調が知らされなかったことだけが幸いだった。

蓮なら会議を休んででも絶対についていくと言いかねないからだ。

案内された内科での女医からの質問に、美咲はドキリと胸を鳴らした。

そういえば、結婚式以来、一度も生理が来ていない。

蓮には、避妊なしで連日抱かれているため、思い当たる節はありまくりだった。

元々生理不順で、アメリカにいた頃は、ストレスで半年生理が止まったこともあったから、特に妊娠を気にしてはいなかった。

「あります」

小さな声で呟いた美咲に、女医は納得したように頷いて

「それなら検尿が先ですね。まずはオシッコを取ってきて看護師に渡してください」

と、美咲に検尿コップを手渡した。
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