寡黙なダーリンの秘めた愛情
「何でそのシーンを見ただけで二人が付き合ってるって思ったの?」

美鈴の問いに

「えっ、だって、私の後ろを歩いていた人達が『あの二人お似合いよね。相思相愛で結婚も考えてるらしいわよ。なんでも城之内くんから告白したらしいし、結婚も秒読みよね』って話してたもの」

と美咲は答えた。

「その日って確か、美咲ちゃんが会長に呼び出された日のことよね?」

美咲が頷くと、美鈴は思い出したと言うように手をポンと打った。

当時、23才だった美鈴は、父であり副社長の誠也の第二秘書をしていた。

「父が副社長室に来ていた兄さんに『昼休みに
美咲ちゃんが来るぞ』って教えたら、兄さん、テンション高くなって、副社長室の花瓶を割って大変だったから覚えてるわ」

「花瓶を?」

「そう。ひいじいさんが大事にしてた100万円の花瓶」

「oops」

一同が憐れみの表情を浮かべた。

「そう言えば、その時片付けに来た赤池さんに『美咲さんて誰ですか?』ってしつこく聞かれた気がする。何時に来るかとか、何してる人かとか、どんな子かとか」

美鈴の言葉に、萌とホイットニーの顔が怒りに満ちる。

ジムはニヤニヤと笑って楽しそうだ。

「他には?何かされた?」

唇を噛んで俯く美咲に

「美咲が隠しごとするときはそうやって唇を噛んで俯くの。本当のこと言いなさい」

と萌がいった。

「そうよ。萌からその癖を教えてもらってたから、アメリカでも美咲のことが良く分かってよかったわ」

頷く四人に美咲は頭が上がらなかった。
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