寡黙なダーリンの秘めた愛情
「ああ、こんな日に美咲を抱けないなんて辛いな」

結婚してから3ヶ月間、考えたら毎日蓮は美咲を抱いていた。

生理が来ていないことにも気づかないくらい、蓮は美咲に溺れていたのだ。

「も、もう、一年分ぐらいはしたから我慢できるでしょう」

「全然足りないよ。なんせ22年間我慢し続けたんだからな」

ん?

美咲の頭に美鈴の゛蓮の美咲への愛は変態レベル゛という言葉が甦ってきた。

「ねえ、いつから私のことが好きだったの?」

「もちろん美咲が生まれたときからだよ。最初に美咲をお風呂にいれたのも、抱っこしたのも俺。美咲は覚えていないだろうけど、俺は10才の時から2年間、八雲の家に預けられてたんだ」

美咲は覚えていないが、蓮が言うには、美鈴が母親と喘息治療のために避暑地に加療に行ったため、蓮が中学に上がるまでの2年間、蓮は八雲家に預けられていたらしい。

お手伝いさんもいたし、礼儀正しくて手のかからない蓮は、妊婦の時から智恵子を手伝い、美咲が生まれてからも、甲斐甲斐しく、智恵子を手伝っていたという。

「美咲のはじめての言葉は゛レンレン゛だったんだぞ」

デレデレと嬉しそうな蓮は本当に親バカっぽい。

乳幼児が、そんなにハッキリとレンレンなんていうはずがないから、レーレーとか何とか言ったのを、贔屓目にとって聞き違えたのだろうと美咲は思っている。

「蓮ってロリコン?」

「そう言われると思って、美咲が20歳になるまで待ったんだろ。それなのに美咲にはアメリカに逃げられて、危うく魔法使いになるところだった」

「魔法使いってまさか、本当に?」

「さあ、どうだろうね」

ニヤリと笑う蓮に、美咲はそれ以上突っ込むのはやめた。

秘技゛受け流す゛の出番だ。

美咲と蓮がはじめて結ばれたあのとき、蓮はギリギリ29歳。

男性が30歳になったときに童貞だと、魔法使いになるという都市伝説がある。

真偽の程はどうあれ、そのくらい美咲を愛しているということで、美咲は満面の笑顔で蓮を抱き締めた。


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