寡黙なダーリンの秘めた愛情
「美咲、蓮とのわだかまりは溶けたようね。朝っぱらから人前でいちゃついて恥ずかしくないの?」

蓮が美咲の額にキスする様子を見ていたホイットニーが、美咲をからかう。

「アメリカではキスぐらい挨拶でしょう。いつもジムとベタベタしまくりのホイットニーの言葉とは思えないわ」

美咲の照れ隠しに

「あら、babyができてずいぶん大人になったこと。男性からの猛攻にドギマギしていた少女が」

と、ホイットニーがひやかす。

「こうして冗談が言い合えるようになったのもホイットニーのお陰ね。ありがとう」

「まだ安心はできないわよ。あのアカイケって女、なんかウサンクサイでしょ」

ジムといいホイットニーといい、難しい日本語を使いたがる。

「蓮くんのことが好きなだけだと思うよ。嫉妬に狂っているだけじゃないかな。私にも気持ちはわかるもの」

「嫉妬してたんだ?」

「...してたよ。ずっと」

「もう、可愛い!ミサキ!」

抱きつくホイットニーをなだめながら、美咲は5年間の切ない思いを振り返る。

由利亜も叶わない恋に身を焦がす仲間だったのだと思うと、恨みをはらそうなどとは考えることはできないと思えた...。

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