寡黙なダーリンの秘めた愛情
「ねえ、オミクジ引いてみようよ」

「いいねえ」

ジムとホイットニーにのせられて、蓮と美咲も何気なく100円おみくじを手に取った。

「なに?どうしたの?僕は大吉だったよ」

「私も吉よ。これってラッキーってことよね?」

外国人向けの英語のおみくじを引いて浮かれるジムとホイットニーに比べ、蓮と美咲は微妙な顔をしていた。

「美咲は...末吉?おう、下から3番目ね」

ホイットニーの言葉に

「末吉は悪い意味じゃない。末広がりだから、これからよくなる運勢なんだ。吉凶が問題ではなくて、書いてある内容を重視する。それを神様からのメッセージとして真摯に受け止めることが本来のおみくじの意味だ」

博識の蓮を凄いと思いながらも、

「出産...さわりあり。争い事...控えて吉」

それが本当なら、この結果をどう捉えていいのか不安になる美咲だった。

「だ、だが、美咲、゛願い事は叶う゛と書いてあるぞ。何かあっても強く願えば乗り越えられないことはない。気を付ければ問題ない。ポジティブに行こう」

「うん...」

蓮は美咲をそうやって励ましてくれるけど...

たかがおみくじ、されど帯祝いの戌の日に神様からもらったメッセージ。

美咲は気を引き締めて残りの5ヶ月を乗りきろうと心に誓った。
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