寡黙なダーリンの秘めた愛情
悪い結果のおみくじは神社に結びつけて帰ってもよいと蓮が言ったので、美咲はおみくじを結んで帰ろうとも思ったが、何かあっても最終的には願い事が叶うならと、そのおみくじを財布のポケットに入れて持ち帰ることにした。

何しろこれから末広がりな運勢なのだ。

「努力しろってことよね」

「いや、無理するな。自然体でいい」

美咲の呟きに、蓮が素早く反応して言った。

「゛待ち人来る゛って書いてあるもんね。それが一番の願いだよ」

ここでの待ち人は、その人の運命の人、できごと、ものを示すらしい。

蓮のおみくじも末吉だったが、願いは叶うし、待ち人は来るになっている。

争い事は゛さわがず゛。

普段、優しくて寡黙な蓮が゛さわぐ゛場面は想像できない。

溺愛する美咲に対するこれまでの由利亜の態度を知っても、いまだに由利亜に何か言うわけでもなく、冷静に成り行きを見守っている位だ。

゛焦らず騒がず、柳のようにしなやかに現状を受け入れ、信心深く邁進せよ゛

そのお言葉を読みながら、美咲はおみくじをしまうと、

「さあ、帯もご祈祷頂いてお守りも貰ったことだし帰ろう」

と、笑顔で蓮の腕を組んだ。

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