寡黙なダーリンの秘めた愛情
通常、9月に始まるアメリカの大学。

18歳の春、アメリカに渡った美咲は、語学留学と称した5ヶ月間の間に、9月から通う予定の大学で、1年次に必要とされる履修単位をすべて取り終えることにした。

それにより、美咲は2年次からの編入を許可されることになった

四年後、日本の同期より7ヶ月早く卒業式を迎えることになるが、就職活動は同じ時期にできる。

親友の佐々木萌の就職希望先は、すでに高2の時から八雲メディカルコーポレーションだと知り、2人の共通目標は、新卒同期入社となった。

蓮の逢引き現場を目にして、美咲と萌の進学先は海を挟んでくしくも別々になったが、四年後に一緒に働くことを約束して、美咲は萌からも離れた。

彼女と同期で入社したい一心から、美咲は留学先で懸命に勉学に励み、更には八雲メディカルコーポレーションにも入社を果たした。

そこにはもちろん、あの蓮もいる。

わかってはいたが、もう、初恋に破れて佇む美咲はいない。

期せずして同じ部署の上司となった蓮への未練を絶ち切り、ようやく仕事も覚えて平常心を保ちながら業務に当たっていたというのに・・・。

会長であり、祖父である橋之介から聞かされた言葉は、愛のない政略結婚へのカウントダウンだった。


< 6 / 129 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop