寡黙なダーリンの秘めた愛情
さわりあり
フラフラと美咲は研究室の外に出た。
ものすごく気分が悪い。
新鮮な空気でも吸わないと息ができなくなると感じるほどに。
妊娠で急激なホルモンの変化に耐えられず、本来ならマタニティーブルーに陥りそうなところを、蓮や美鈴、ホイットニー達に支えられて明るく過ごせていたのだな、と美咲は実感していた。
自宅マンションと会社の研究室だけを行き来していた美咲は、言ってみれば外部との関わりを遮断させられていたとも言える。
政義の言ったことを信じたくはないが、蓮と美鈴がぐるだったら?
全てが美咲を安心させるための嘘だったら?
マタニティーブルーの波に一気に投げ出された気分の美咲は、正常な判断ができなくなっていた。
結婚前に、時々昼食を食べていた中庭のベンチに座る。
クリスマスイルミネーション一色に飾られた木々が、冷たい木枯らしに最後の葉を揺らされていた。
必死にしがみつこうとしている葉っぱに自分を重ねて、美咲は泣きそうになった。
「あら、会長の孫の城之内美咲さんじゃない?大きな鳥籠に隠れて、蓮さんや由利亜さんから幸せを奪って満足してた訳ではないの?」
そう声を掛けてきたのは、由利亜の取り巻きの1人とされる、会計監査室の松本歩花だった。
ものすごく気分が悪い。
新鮮な空気でも吸わないと息ができなくなると感じるほどに。
妊娠で急激なホルモンの変化に耐えられず、本来ならマタニティーブルーに陥りそうなところを、蓮や美鈴、ホイットニー達に支えられて明るく過ごせていたのだな、と美咲は実感していた。
自宅マンションと会社の研究室だけを行き来していた美咲は、言ってみれば外部との関わりを遮断させられていたとも言える。
政義の言ったことを信じたくはないが、蓮と美鈴がぐるだったら?
全てが美咲を安心させるための嘘だったら?
マタニティーブルーの波に一気に投げ出された気分の美咲は、正常な判断ができなくなっていた。
結婚前に、時々昼食を食べていた中庭のベンチに座る。
クリスマスイルミネーション一色に飾られた木々が、冷たい木枯らしに最後の葉を揺らされていた。
必死にしがみつこうとしている葉っぱに自分を重ねて、美咲は泣きそうになった。
「あら、会長の孫の城之内美咲さんじゃない?大きな鳥籠に隠れて、蓮さんや由利亜さんから幸せを奪って満足してた訳ではないの?」
そう声を掛けてきたのは、由利亜の取り巻きの1人とされる、会計監査室の松本歩花だった。