寡黙なダーリンの秘めた愛情
生まれてきた美咲は色白で、この世のものとは思えないほど可愛くて天使のようだった。

実の妹の美鈴のことも可愛いとは思っていたが、美咲には気を揉まされた分だけ愛しさが倍増だった。

小さな手も、ピンク色の小さな唇も可愛くて仕方がない。

無事に生まれてきてくれた感謝と、自分も一緒になってこれまで守ってきたという自負。

それらがない交ぜになって蓮は赤ん坊の美咲に恋をした。

他人に理解してほしいとは思わない。

でも、間違いなく蓮にとっては本物の恋だった。

「おばさん、大きくなったら美咲をお嫁さんにしてもいい?」

美咲が生まれた瞬間からそんなことを言い出した蓮に、智恵子と慎太郎だけでなく、面会にきていた蓮の両親も驚いていたが、

「ええ、いいわよ。甲斐甲斐しく私達のお世話をしてくれた蓮くんが息子になるなら私達は大歓迎よ」

「まあ!私もこんなに可愛い美咲ちゃんがお嫁さんに来てくれるなら嬉しいわ。婚約成立ね」

と冗談だったのかもしれないが、蓮の申し出を2つ返事で受け入れてくれた。

その日から、蓮の美咲に対する執着と過保護ぶりがスタートした。

これで、生半可な覚悟ではないとお分かりいただけたことだろう。
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