寡黙なダーリンの秘めた愛情
「いや、兄さん、まず怒るのはそこじゃないでしょう?義一が美咲ちゃん狙いだったのは本当だし、兄さんが将来の社長候補って言われてるのをよく思ってないのもあからさまだったじゃない」
美鈴は呆れ顔で言うが、蓮は本気でその事が気に入らない様子だ。
「城之内は破滅だと言っているな。誰かが蓮や私を陥れる算段がついたような言い方が気になる」
誠也も難しい顔をして考え込んでいた。
「それでね、ホイットニーが研究室を離れたことを即座に専務にリークした人物なんだけど、受付の矢野幸美、赤池さんの取り巻きの一人だった」
美鈴は蓮の様子を見ながらも淡々と続けた。
「矢野さんは、その後受付で知り得た情報をもう一人の取り巻きである松本歩花にも連絡をした。正気を逸した美咲ちゃんが一人で中庭に出ていることを・・・」
「長友主任は、そんな心理状態の美咲を一人にしたのか!」
誰彼構わず当たり散らす蓮に
「長友主任は政義おじさまと美咲ちゃんの会話を直接聞いてはいないわ。それに、私達は美咲ちゃんのボディガードを彼に頼んでいたわけではないし、その時、長友主任は海外からの電話に対応していて、美咲ちゃんが研究室から出ていったことに気づかなかったの」
と、美鈴は長友主任をかばう。
「まあ、これからが兄さんの最大の怒りポイントよ。美咲ちゃんが一人になったことを知った松本歩花は、総務に届いていた研究室あての30cm四方の箱を持って、中庭に向かった。何か理由が必要だと思ったんでしょうね」
吐き捨てるように言う美鈴の言葉の端々にも悪意がこもっている。
「美咲ちゃんにはボイスレコーダー付きのスマートウォッチ型防犯カメラを持たせていたんだけど、ジムがその画像を病院に運ばれた美咲ちゃんの腕から回収して持ち出してくれたわ」
これよ、と美鈴が差し出した時計型の防犯カメラに写し出されたのは、美咲を蔑む言葉の数々と、手にした段ボールを美咲に押し付ける様子だった。
美鈴は呆れ顔で言うが、蓮は本気でその事が気に入らない様子だ。
「城之内は破滅だと言っているな。誰かが蓮や私を陥れる算段がついたような言い方が気になる」
誠也も難しい顔をして考え込んでいた。
「それでね、ホイットニーが研究室を離れたことを即座に専務にリークした人物なんだけど、受付の矢野幸美、赤池さんの取り巻きの一人だった」
美鈴は蓮の様子を見ながらも淡々と続けた。
「矢野さんは、その後受付で知り得た情報をもう一人の取り巻きである松本歩花にも連絡をした。正気を逸した美咲ちゃんが一人で中庭に出ていることを・・・」
「長友主任は、そんな心理状態の美咲を一人にしたのか!」
誰彼構わず当たり散らす蓮に
「長友主任は政義おじさまと美咲ちゃんの会話を直接聞いてはいないわ。それに、私達は美咲ちゃんのボディガードを彼に頼んでいたわけではないし、その時、長友主任は海外からの電話に対応していて、美咲ちゃんが研究室から出ていったことに気づかなかったの」
と、美鈴は長友主任をかばう。
「まあ、これからが兄さんの最大の怒りポイントよ。美咲ちゃんが一人になったことを知った松本歩花は、総務に届いていた研究室あての30cm四方の箱を持って、中庭に向かった。何か理由が必要だと思ったんでしょうね」
吐き捨てるように言う美鈴の言葉の端々にも悪意がこもっている。
「美咲ちゃんにはボイスレコーダー付きのスマートウォッチ型防犯カメラを持たせていたんだけど、ジムがその画像を病院に運ばれた美咲ちゃんの腕から回収して持ち出してくれたわ」
これよ、と美鈴が差し出した時計型の防犯カメラに写し出されたのは、美咲を蔑む言葉の数々と、手にした段ボールを美咲に押し付ける様子だった。