寡黙なダーリンの秘めた愛情
「ごめん、父さん、美鈴。もう落ち着いたよ」

スイートルームに戻った蓮の顔は何かを吹っ切ったようにスッキリとしていた。

「美咲ちゃんと話せたの?」

「ああ」

「23年前から、お前のモチベーションは全て美咲ちゃん一色だもんな」

誠也の冷やかしにも蓮は表情を変えない。

イケメンとはいえ、普段は寡黙で面白くもない男なのだ。

こんな蓮の一体どこを赤池由利亜は好きになったのか、とここにいる3人は不思議に思う。

おそらくプライドと執着。

いい加減、もうここらで手を打たなければ実害も出ている。

美咲とべべに手をかけた、その報いを当然受けてもらわねば気がすまない。

「まずは赤池由利亜からね。兄さんと父さんがN大学の教授を接待してここに戻ってきたときが狙い目よ。赤池由利亜は必ず、レンジを伴ってこのホテルの玄関をくぐる。その時に兄さんは二人に対峙して」

蓮はゆっくりと頷いた。

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