寡黙なダーリンの秘めた愛情
「し、失礼ですが、証拠はございますか?」

その徹底した態度に満足したのか、彼は嫌な顔をすることもなく免許証と保険証を出した。

「えっ、本物ですか・・・どうしよう」

免許証の写真と名前、実物を確認しながら戸惑った様子で外山助産師が呟く。

「何か不都合でも?」

顔つきが変わった蓮に、外山助産師はたじろく。

「とにかく、部屋にご案内します。急いでください」

外山助産師は、夫と名乗る男性Bと城之内美咲が入院している特室をめざした。

コンコン、とノックもおざなりに、外山助産師は部屋のロックを解錠する。

先程も同じ動作で、この部屋の解錠をした。

震える体を奮い立たせて室内を見る。

お腹を押さえて顔をしかめる美咲、心配そうに背中を支える自称夫A。

「れ、蓮くん!」

こちらを見て、安心した様子で顔を輝かせた美咲の顔を見て、

゛ああこっちが本物か。詰んだな゛

と外山は思った。
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