【短編】柚季くんのギャップについていけない。
先輩が悪いんですよ?
放課後。
部室に行くと、後輩の柚季くんだけがいた。
「あれ、まだ1人?」
「3年生は進路説明会とかで、今日は来ないと思いますよ」
そっか。
昨日そんなこと言ってたかもしれない。
「じゃあ今日は2人っきりだね、ゆじゅきくん!」
私が所属する新聞部は3年生が5人いるのに、2年生は私1人、1年生は柚季くん1人だけ。
いよいよ来年の部活存続が心配されている。
「遥先輩」
「なにかな、ゆじゅきくん」
「その呼び方、まじでやめて下さい」
「なんでー、かわいいのに」
私はたった1人のこの後輩が、かわいくてかわいくて仕方ない。
だって初めてできた後輩だし、顔もリスみたいでかわいいんだもん。
柚季くんを見てニタニタしている私に気づき、盛大なため息をつく柚季くん。
「あんまり見ないでもらっていいですか?」
「えーなんで?」
「気が散るので」
そう言って昨日スクープしたネタをパソコンに打ち込む柚季くん。
マジメかっ。
先輩たちもいないし、柚季くんも相手にしてくれないから、つまんなーい。
真剣にパソコンとにらめっこしている柚季くんをこっそり眺める。
ほっぺた、めっちゃ柔らかそう。
ほお袋でもあるんじゃないかな。
めちゃくちゃ伸びそう。
そんなことを思っていると、ついつい自然と手が伸びていて。
柚季くんのほっぺたをぷにっとつねっていた。
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