【短編】柚季くんのギャップについていけない。
そんな私にびっくりした顔を見せる柚季くん。
「なにひてるんでふか、へんはい」
ほっぺたをつねった状態で喋ってるから、柚季くんが何を言いっているのか分からない。
でもそれがまた、かわいい。
「ほっぺためちゃくちゃ伸びそうだなーと思って」
「はなひてくだはい」
「なに?なんて言ってるか全然分かんないよー?」
そう言った瞬間だった。
柚季くんが私の腕を力強く握るもんだから、ぷにぷにのほっぺたから私の手が離れてしまった。
「先輩、いい加減にして下さい」
あ、やばい、柚季くん怒っちゃった?
ふざけ過ぎちゃったかな。
「ごめんね、つい」
「ついじゃないですよ?さっきから何なの?」
え?
あの真面目な柚季くんがついにタメ口…?
やっぱり怒ってる…?
それに、さっきから握られている腕が少し痛い。
「ちょっと腕離して」
「ダメ」
「もうほっぺた触らないから」
「そういう問題じゃないんですよ」
「え、」
じゃあ、どーゆう問題…?
「ずっと俺のこと見ておいて、あげく先輩から俺に触れるなんて」
ん?
触っちゃダメだった?
頭にはてなが浮かんでいる私を見て、柚季くんは眉間にしわを寄せた。
「先輩、俺が後輩だからって油断してません?」
「え?」
柚季くんはそう言ったかと思うと、私の腕を握ったまま、椅子をぐっと私に近づけた。
すぐ近くに柚季くんの顔。
っ…!