溺愛男は恋愛初心女の恋を惑わせる
自分の状況から逃避するかのように、頭を整理した。
冷蔵庫からお酒を取り出し、もっていく。

話題を亮さんにふる。

「亮さんこそ、病院内で女性陣から誘われてるんじゃないですか?」

冗談で言ったつもりだったのに、突然の私の言葉に吹き出す彼。

「えっ、イヤ、そんなことないよ。。。」

あれ、やっぱりそうなんだ。
そうだよね。カッコよくて優しくて、腕も良くて、院長の息子で、モテないはずはない。
何気に聞いた自分が、聞かなきゃ良かったと後悔する。
しっかり、すっかりハマってしまてるな。
モヤモヤする感情を上手く誤魔化せるかな。

「そっか、やっぱりモテるよね。」

「いや、誤解するなよ!誘われても乗らないから。
院内でなんてあり得ないし。
それに、今は玲奈がいるから。これからもだろ。」


そんなふうに言ってくれてうれしい。
ウンウンと私は頷いた。

目を合わせてニッコリしながら言う彼。
「もしかして、妬いてくれてる? だったら嬉しけど。」

なんだか悔しくて、下を向いたまま彼の右胸にグーパンチを軽くお見舞いした。
< 102 / 280 >

この作品をシェア

pagetop