溺愛男は恋愛初心女の恋を惑わせる
疑惑(玲奈side)
パーティーへ兄達と参加することになった。
誠也は数日前に家族を連れて、長めの休暇をとってやってきていた。
オペの準備時間を入れてもかなり余裕だった。
カナダ人の奥さんと、4歳の甥っ子と2歳の姪っ子が実家に滞在している。

響也は予定より早目の帰国だった。
パーティー当日に着いたみたいだ。

兄弟が揃ったのも久しぶりで、急遽亮さんも参加すると聞き楽しみだった。
更に、響也と亮さんが友達だったなんてビックリだった。

日本で拠点がない私は、色んな人と出会いがあり有意義な時間だった。
お酒も入って舞い上がっていたのかもしれない。


パーティーも終盤だった、酔いを醒ますためレストルームへ。
そこで、ある女性と出会った。
私と同年代だろうか、大人しそうな小柄な女性で可愛らしい。
声をかけられて、普通にご挨拶や何気ない会話をしていたら彼女が言った。

「実は私、亮くんの、久我 亮さんの婚約者なんです。
小さな頃からの知り合いで親同士も公認で。
昔からいつも誰か彼女がいる人だったから大丈夫です。
今はあなたの側にいるようですが、いずれ私達結婚します。
だから、その時が来たら分かれて下さい。」


突然の発言に、どうやって彼女が去ったのか憶えていない。
気持ちを落ち着けて会場に戻ったのは随分後だった。
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