溺愛男は恋愛初心女の恋を惑わせる
職業柄、ポークフェイスは得意だ。
病名を患者さんへ誤魔化すこともある。
パーティーも終わりに近づき、男性陣の元へ戻っても笑顔でやり過ごした。

「今日は兄達もいるので実家へ帰ります。おやすみなさい、亮さん。気をつけてね。」

そう言ってどうにか目を合わせて、その場を離れることが出来た。


帰宅してから数日が経った。
頭はぐちゃぐちゃだ。
おはようもおやすみのメールも普通にきて、普通に返す。
必要以上の言葉を送れないけど、お互い忙しい身なのでそんなものだ。

仕事に私情は持ち込まない。
仕事をしているときは忘れられるから。
医療現場でミスは許されない。心を乱すときは特に集中した。

三日連続で病院にも通い兄達も加わって、チームが出来た。
あと五日でオペだ。
母も入院して検査を始めている。
ミスは許されない。絶対に。


今日は久々にチーム会議がなく病院へ行かず、午前中は清史郎のところで
今度ある大きな茶会の打ち合わせ。
終わってメールチェックすると、マリアさんからメールが。
そろそろ退院が近いらしいから会いたいと。
今朝はメールで亮さんはオペだと言ってたから、会わずにお見舞い行けるかなと
亮さんの病院へ行くことにした。
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