溺愛男は恋愛初心女の恋を惑わせる
オペ当日(玲奈side)
オペ当日の朝。
緊張した。初めてオペをする日よりずっと。
難しいオペだ。
お母さんのために絶対に成功させる。

朝から亮さんが電話をくれた。

“君が君らしくお母さんにより添え”

彼らしい言葉だ。
成功だとか、頑張ってとか言わない。
ずっと、影で応援してくれていたから、これが彼なりの励まし。

“うん”と返事して、“行ってきます。”と答えた。



兄とのオペは初めてだ。
卒業した大学もちがうし、
現在の拠点はカナダ、アメリカ、スウェーデン。
専門は心臓だけど、心臓外科、弁護士、小児外科。

一度も合わせてやったことはなかったが、不思議と不安はなかった。
グループ会議で進行のすり合わせ、父も口出しはせず、誠也主導の下、オペの計画を進めた。
3人英語に統一したのは、ミスをなくすため。
スタッフには面倒をかけるが、日本語で一語間違えてスピードが下がるのを
懸念したからだ。
日常会話に困ることはないが、普段の私達はスウェーデン語か英語だ。
幼少期からいえばスウェーデン語の方が上手い。
< 157 / 280 >

この作品をシェア

pagetop