溺愛男は恋愛初心女の恋を惑わせる
夕方、宿についた。

予約が取れない宿というだけあって他の客とも出会わないような隠れ家のような部屋だ。
中庭もキレイで、部屋には露天風呂もある。
和洋室で大きなデラックスベッドの寝室に、お座敷のリビング。
ちょっとしたミニバーもあって広い室内。
館内は大浴場や大きな露天風呂もあるようだ。

かなり良い部屋に、行けなくなった先輩夫婦は残念だろう。

おかげで楽しい滞在になりそうだ。


「先輩ご夫婦にお礼しないとな。こんないい所で、玲奈とのんびり出来るなんて
うれしいよ。ありがとう、玲奈。」

「ほんと素敵なところだね。景色も私達だけのものみたい。お休み無理したんじゃない?」

「大丈夫だよ。明日は当直だけど、夜までに戻ればいいから。それよりも昨日絡まれて
変なことない?電話やメールとかも。」

「大丈夫。一度も誘いにのらないからムキになってるのかも。今度はきちんとお断りする。」

「気をつけろよ。何かあったらすぐに連絡して。危なかったら迷わず110番するんだ。」

「うん。以前、ハイスクール時代、同級生付きまとわれて困ったとき兄が追い払ってくれたけど、
その頃、護身術少しやったからいざとなったら、ね。」

「いざとなって、動けるか分からないだろう。外出の行き帰りや駐車場とか人気のないところは
特に気をつけて。」
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