溺愛男は恋愛初心女の恋を惑わせる
温泉(玲奈side)
はじめから言って、ここへ来ればよかったのかもしれない。

温泉宿は流石先輩が選んだところ。雰囲気も温泉も食事も最高だった。

今日一日、亮さんと過ごす時間は楽しくて、ストーカーのことも心配してくれる。

いつでも彼は優しくて。

部屋へ戻って、二人っきりになることは避けられない。
夕食まではなんとかそういう雰囲気にならないようにやり過ごしたけれど、
二人っきりになって
“おいで”って優しい声でいわれたら、もう避けられない訳で。
でもキスを受け入れ、どんどん深くなっていくと慌てて彼の腕から抜け出した。


説明を求められ、どう説明していいか迷う私にイライラしているのが分かる。
そうだよね。ここまできてなにもないってあり得ないよね。
直球で伝えるべき?
できないなら、今日誘うな。とか思う?
男の人の心と体は別とか言うし、優しい彼も怒るかも。
イラつく姿を普段見ないだけに出方が分からない。

「ちゃんと言って。どうした?」優しい物言いだけど、理由を求める。

ちゃんと伝えよう。誤魔化しは彼には通用しない。

「あのね、今日は…女の子の日なの。だから今日はしないで下さい…」

弱気な声で伝えた。
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