溺愛男は恋愛初心女の恋を惑わせる

マンションの前に着いた頃、前方から愛しの彼女。今日もかわいい。
あと少しのところで、車から誰かが降りてきた。
細身の男だ。彼女の横をぴったりと一緒に歩く。何か話している。

ピタリと彼女が止まり話し始めた。表情は険しくて。
もしかして…。不安がよぎる。

「待ち伏せとかやめて下さい。先日もお断りしましたよね。私はお付き合いしている人が
いるんです。だからあなたとは考えられません。」

この言葉でストーカーかと悟る。すぐに間に入って助けるべきか、様子を伺うか。
すると、彼女がオレに気がついた。
“目が待って”と言っている。いつでも飛び出せるようにスタンバイ。

しばらく押し問答があっていたが、突然彼女の腕を掴んだ。抵抗する彼女。
もう我慢出来ない。触るな！オレの玲奈に！ますます、怒りが湧いてくる。

「その腕を離せ。話なら彼氏のオレが聞くよ。」逆上させないように落ち着いて言った。

だが、突然の彼氏登場に驚いたのか彼女をぐっと引き寄せた。

「いいから、離せ！怪我させたら許さないからな！」

動揺して好き勝手言ってる。要は玲奈には自分が一番合う。地位もお金もあるとか何とか。
おとなしくて優しい君には僕があっているとか何とか。

いつまでも玲奈に触れて好き勝手言ってるコイツに冷静さを失いかけたとき、
玲奈がキレた。キレた玲奈ちゃんは最初こそ日本語だったが最後は英語でまくし立てた。

「好き勝手言うんじゃないわよ。大人しくきいていれば勝手に人のこと想像して。
私は大人しいいい子ちゃんじゃないの。あなたが思ってるよりもじゃじゃ馬よ。
次来たら、あらゆる手段であなたの地位もお金も失うわよ。覚悟しなさい！
そして、この手を離せ！」と言って、

男の腕を捻る、するといとも簡単に男の体はクルリと宙を浮き地面に投げられた。