溺愛男は恋愛初心女の恋を惑わせる
彼女の手紙に震えた。
もういない。オレの腕に。
帰ると、笑顔で迎えて、昨日まで笑顔で見つめてくれていた彼女が
スルリと抜けていった。

呆然となり、その場に座り込んだ。
なんで?
上手くいってたんじゃないのか?
あんなに愛しあってたじゃないか。
会えない時間もそれは多くなったけど、それでも理解し合えてたんじゃ。


突然のことに理解が出来ない。
振られたのか?
飽きられた?
新しい男が出来たとか?

悪い方悪い方へ考えてしまう自分に、衝撃で吐き気がした。

きっと何かドッキリかも。
ほんとは隠れてるんじゃ。バカな期待をして他の部屋を見て回る。
大きなスーツケースとクローゼットの服が半分なかった。

ほんとにいない。


しばらく呆然としていたが、ケーキという言葉を思い出し冷蔵庫を
あけた。

そこには手作りのケーキとハッピバースデーの文字。
一切れ分だけ無くなっていたホールケーキだった。

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